心洗われた夜  

 

母が指をケガして帰ってきた。

 

うちの地域では「地域猫」といって、不妊去勢手術済の猫をルールの元でボランティアが世話するという、行政に認められたタイプの野良猫がいる。

10年ほど前に、ミミちゃんという地域猫に餌をやっていた人が引っ越した。

そしてミミちゃんの世話を、母がお願いされて引き継いだ。

 

それから毎日、雨の日も風の日も雪の日も、ミミちゃんにごはんをやりに行っている母。

そのミミちゃんに、指を引掻かれたという。

いや本当は、引掻かれるのははじめてじゃなく、ごはんをあげる度にシャーっという、ミミちゃんは愛しにくい猫なんです。

 

「あの子は長いつき合いなのに、慣れないね~。けど人を傷つけるのは、よっぽど傷ついたことがあるんだね~。」

「そだね~。」

なんて会話を、夕ごはんを作りながら母とした。

 

穏やかに話す母の言葉に、わたしの心が洗われてしまった。

自分を傷つける相手を許し、相手の痛みをおもんばかる心の広さ。

年を重ねた人は優しい。

 

↑タイちゃん。台風の日に捨てられていた赤ちゃん時代、連れて帰ってきました。今ではこんなにふくよかに(´艸`*)